"ジャクソンポロックはAbstractExpressionism(抽象表現主義)と呼ばれる絵画運動の代表的な人になります。抽象表現主義は第二次世界大戦以降にアメリカを拠点におこった運動で、アートの中心地がヨーロッパからアメリカのニューヨークに移るきっかけになった重要な運動でもあります。ポロックの絵がなんであそこまで抽象的になって、ここまで有名になったのでしょう?

ポロックの絵は、美術歴史的にもかなり重要なのです。
カメラと映画は1800年代後半に普及し始めました。1910年代以降からHollywoodなどの誕生で、映画がとても人気になりました。そうすると、それまでリアルに見たものを書こうとしていたアーティストたちはとたんに何をしたらよいのかわからなくなったんだと思います。正確に物を写す技術は人間の手なんかよりも機械のほうが優れてますから。

そこでクレメント、グリーンバーグという、1940年代とても影響力を持った美術評論家がジャクソンポロックやほかの抽象表現画家をとても評価し、新しい美術の方向性を示した論文をいくつか書きました。
彼の論文を簡単にまとめると以下のような内容です。

1.アート(特に絵画)は、そのミディアムの特徴を追求するべき。絵画だったら、絵画の特徴である平面を追求したものを作り上げるべきだと考えました。
2.アートは結果より、プロセスを大事にしよう。
3.アートはアバンギャルド(おもに、彼にとって抽象絵画のことを言う)でなくてはいけなくて、抽象絵画じゃないもの(とりあえず具象絵画って呼ばせていただきます)は、Kistch(キッチュ)、(であってアートではない。
(ミディアム=彫刻、油絵、などの美術のカテゴリー)

彼の論文の中で頻繁にハイアートとローアートという単語が出てきます。簡単に言うとハイアートとは美術館でかざられるような”まじめ”なアートで、ローアートはKistch、宣伝なんかに使われている大衆向けの「アート」ようです。たとえばポスターや商品のラベル、漫画などです。さらにグリーンバーグは具象絵画はすべてキッチュとしたのでグリーンバーグの定義によれば、ダヴィンチの絵も具象絵画なのでローアートにいれられます。(日本はアメリカに比べて、歴史的な違いからにアートをそのようなのわけ方をするのはなじみがないかもしれません。)
グリーンバーグの論文はこのハイアート(抽象絵画主義に代表されるアート)に大衆向けアートいわゆるローアートをはっきりと区別する内容でした。

なぜグリーンバーグはそうまでしてハイアートとローアートをわけたがったのか?
それは、当時ロシアやナチスドイツがアートを使って政府の社会主義政策を宣伝していたためです。そういった社会主義国では、抽象絵画を禁止して社会主義リアリズムなどの「リアル」な表現の絵画を国の正式な美術のスタイルにしました。リアルな表現を使った絵画のほうが、すべての人に受け入れられやすくわかりやすいですよね?社会主義の、”平等”を唱える国家に最適のスタイルです。と同時に、政府が国民に伝えたいメッセージを伝える使われやすいスタイルでもあったのです。
スターリンやヒトラーを偉大な指導者のようにかいたり、愛国心をあおるような絵画をかいたり、そういった絵画は抽象的にはなかなかかけません。早く、簡潔に政府の伝えたいメッセージを国民に伝えるには具象表現があっていたのです。グリーンバーグは、アートだけはそういった政府の影響をうけない、アバンギャルドなものにしたかったのだと思います。抽象主義ならば、すべての人に理解されずらいスタイルなので政府にいいように使われないと考えました。だから抽象表現的なアート以外はアートとして認めなかったのです。



Boris Vladimirski,”Roses for Stalin”(スターリンに花束を) 1949

↑は社会主義リアリズムのスタイルで描かれた絵画です。子供たちが笑顔でスターリンに花束をわたすシーンです。この絵でスターリンは白い制服きちりと着て、とても清潔なイメージです。とても堂々として、先を見据えたようなたのもしい描かれ方をしています。スターリンが立派なリーダーであるというイメージと同時に、子供にもやさしい父親的な面ももっている親近感の沸けるリーダーだというメッセージを国民に伝えようとしているのが分かります。たしかに抽象絵画では、このような具体的なメッセージはかけませんね!(^^)

しかし、皮肉なことに抽象主義の表現もアメリカ政府によって政治のために使われてしまいました。アメリカは民主主義、自由を唱えます。「アメリカでは、こんな自由な表現が許されるんだぞ!」とアメリカの宣伝に使われてまったのです。"

現代美術は勉強すればおもしろい(愛) | ジャクソンポロック (via petapeta)